2~3歳頃は友達との関わりが増え、友達と同じ遊びを楽しみ、玩具の貸し借りを言葉でやりとりするようになります。また、自我が芽生えてくる頃でもあるため、友達とのぶつかり合いも起こります。
ある日のこと、動物ブロックのカメがお気に入りのAくんは、容器におままごとの具材のおはじきとカメを入れ、「カメのエサ」と言って遊んでいました。途中で、その容器ごとおままごとゾーンに置いたまま、別の所へ行ってしまいます。
少しして、おままごとゾーンにやってきたBくん。バーベキューの網に具材のおはじきを次々に入れて焼き始めました。そして、Aくんが置いていった容器からも具材を取ると網に乗せます。
そこへ戻ってきたAくん。置いていった容器の中の「カメのエサ」が減っていることに気付くと、Bくんのバーベキューの網から具材をぱっと手づかみで取り返して持って行ってしまいました。
突然の出来事に、ワーッと泣き出すBくん。網にはまだ具材はたくさんありましたが、「きいろー!」と騒ぎます(具材は何色もある)。事の次第を見ていた私。「Aくんはカメさんのエサで使ってたんだって。きいろがよかったの?」響き渡るBくんの泣き声を他の子も聞きつけ、「きいろあるよ」と余っているものを渡しに来てくれます。床にも「きいろ」は落ちていました。Bくんは「いらない!」と手で払い、泣きが止まりません。周りがなだめようとしてもBくんの納得がいかないのです。当事者同士の解決しかないなと、私はBくんの側につきながら「Aくーん」と姿が見えなくなったAを呼んでみました。
するとAくんが現れ、おままごとの棚の周りを先程の容器を持ちながら真顔でグルグル歩き出しました。何周か歩いた後、ぱっと「きいろ」の具材をBくんの網に乗せたのです。
Bくんの泣きがピタッと止み、AくんはBくんの隣に座りました。2人とも表情が一変し、Aくんが「なかよしー!」と言うと、2人でニコニコ!
Aくんはグルグル歩き回っている間に、お友達にどうすればいいかを彼なりに色々考えていたのでしょう。子ども達はぶつかり合いの経験からコミュニケーションを学んで大きくなっているのだなと、嬉しく思った出来事でした。
保育士N.W